■輸入魚油の主要脂肪酸平均組成
   −1996〜2003年 水産油脂統計年鑑−
            一覧表はこちら
■ノルウェーサーモンとサーモントラウトの違い
○ノルウェーサーモンとはアトランティクサーモン(学名:Salmo salar)のことで、日本 名で大西洋サケ。国内では馴染みがない。体色は130cmを超えるものも希いる(最高150 cm、35kg)。生息地は西・北太平洋に分布している。

○サーモントラウトはレインボートラウト「ニジマス」(学名:Oncorhynchus mykiss)のこ とで、日本でも馴染みが深く日本名でニジマスの名でよく知られている。ニジマスは銀白  色で背面は緑がかり、側線にそってピンク色の帯がある。体(特に背面)、背鰭、胸鰭、尾 鰭には小黒点があり体調は90cm位になる。
 自然分布はカムチャッカ半島からアラスカ南部、カリフォルニア南部までの北太平洋(もと もと米国ロッキー山脈の渓流に生息するらしい。)に分布している。
 日本には1877年に移入し、世界中に養殖され広まっている。ニジマスには海に下る降海型 と一生淡水で生活する陸封型がいる。降海型をスティールヘッドトラウト、陸封型をレイ ンボートラウトという。
                     (ノルウェーシーフードセミナー資料より)                        

■DHA・EPAは各疾患の予防改善にどれだけ必要か
 
いろいろな疾患を予防するために、DHA、EPAまたは魚油の摂取推奨量については、現在のところ充分に討議されていない。したがってその数値は明らかでない。
 現在までにDHA、EPAによる臨床介入試験の報告を見ると、心血管疾患に関するものが多く、次いで炎症・アレルギー関係、糖尿病、乾癬、その他となっている。そこで、臨床介入試験を各種疾患別に整理し、摂取量、摂取期間、効果を確かめ、健常者における摂取試験結果と合わせて、各種疾患予防のためのDHA、EPAの推奨量を考察する。

1.心血管系疾患患者による臨床試験
 @冠動脈疾患患者8名に1日当たり、DHA2.2g、EPA3.2gを12週間摂取 → 好中球
 の凝集や走化性が抑制、ロイコトリエンB4の産生が低下した。
 
 A冠動脈疾患患者8名に1日当たり、DHA3.6g、EPA5.4gを6週間摂取 → 血漿中
 の中性脂肪量の低下とHDL-コレステロール量の若干の上昇が認められたが、比較的多
 い摂取量でも、短期では有効でないと報告されている。
 
 B冠動脈形成術後の患者205名に魚油(1日当たりDHA1.8g、EPA2.7g)を6ヶ月摂取
 → 再狭窄を予防する効果あり。

 C冠動脈形成術後の患者551名に1日当たり、DHAエチルエステル2.8g、EPAエチル
 エステル4.1gを6ヶ月間摂取 → 高い頻度で再狭窄の予防が可能。
 
 D冠動脈形成術後の患者108名に1日当たり、DHA1.2g、EPA1.8gを4ヶ月間摂取
 → 早期の再狭窄の頻度が下がらなかった。

 E高リポ蛋白血症の患者16名に1日当たり、DHA2.2g、EPA3.2gを6週間摂取 →
  血小板機能の抑制や血漿中の中性脂肪およびVLDL-コレステロールの低下とHDL
 -コレステロールの上昇が認められた。

 F原発性急性心停止患者334名に1日当たり、n−3脂肪酸5.5gを1ヵ月間摂取 → 急性心
 停止のリスクを50%減少。

 Gヘテロの家族性コレステロール血症患者14名に1日当たり、魚油エチルエステル5.1gを
 4週間摂取 → 血清コレステロール量等への影響は認められない。

 H高脂血症患者に1日当たり、DHA1.25gまたは2.5gを4週間摂取 → 血清中の中性脂
 肪量の減少が認められた。

 I本態性高血圧症患者78名に1日当たり、DHA+EPA4gを魚油として16週間摂取  
 → 血圧低下と血中脂質の改善が認められた。

 J軽度の高脂血症患者56名に1日当たり、高純度のDHAまたはEPA4gを6週間摂取 
 → EPA摂取では血圧と心拍数に変化が見られなかったが、DHA摂取では血圧と心
 拍数の低下が認められた。

2.炎症性疾患患者による臨床試験
 @軽度の喘息患者12名に1日当たり、DHA2.2g、EPA3.2gを10週間摂取 → 喘息
 の症状は変わらず、好中球の機能を低下する効果を認めた。

 Aアトピー性気管支喘息患者17名に1日当たり、DHA2.2g、EPA3.2gを10週間摂取
 → 喘息の症状には変化認めず、アレルゲンによる喘息反応の程度が減少。
 
 B関節リュウマチ患者17名に1日当たり、DHA2.2g、EPA3.2gを24週間摂取 →
 有痛性関節数の改善、膨張関節数の減少、好中球のロイコトリエンB4およびマクロフ
 ァージのインターロイキン-1産生の減少が認められた。

 C軽度の慢性関節リュウマチ患者64名に1日当たり、DHA1.1g、EPA1.7gを1年間
 摂取 → NSAID(非ステロイド抗炎症剤)療法の利用を減少。

 D中等度から重度の乾癬患者145名に1日当たり、EPAエチルエステル+DHAエチル
 エステル5gを4ヶ月間摂取 → 血漿中の中性脂肪量は減少したが、臨床症状の改善は認
 められない。

 E潰瘍性大腸炎患者に1日当たり、DHA2.16g、EPA3.24gを4ヶ月間摂取 →  直
 腸透析物中のロイコトリエンB4レベルが低下し、組織学的な所見も改善され、体重の増
 加も認められた。

3.糖尿病患者による臨床試験
 @インスリン依存性のT型糖尿病患者13名に1日に当たり、DHA2.3g、EPA5.4gを
 4週間摂取 → 糖代謝の恒常性を変えることなく、心血管系患者の危険因子を改善した。

 Aインスリン非依存性のU型糖尿病患者に1日に当たり、魚油(DHA1.1g、EPA
 1.6g)を4〜8週間摂取 → 収縮期および拡張期の血圧の低下が認められた。

 B同様の患者に魚油を6週間摂取 → 血管系の機能の改善が観察された。

4.その他の患者による臨床試験
 @膵嚢胞性線維症患者12名に1日当たり、魚油(DHA2.2g、EPA3.2g)を6週間摂取
 → 赤血球膜リン脂質におけるEPA/AA比の上昇が鈍く、臨床的な改善が認められな
 い。

 A同様の患者14名に1日に当たり、メンへ-デン油6.8gを6週間摂取 → 血清のロイコト
 リエンB4レベルは低下したが、臨床症状は変化しない。

 B大腸がんの危険性のある者20名に1日に当たり、魚油(DHA3.6g、EPA4.1g)
 を12週間摂取 → 直腸粘膜のEPA含量が増加し、大腸がんのリスクを減じる可能性
 を認めた。
 
5.健常者による摂取試験
 @健常者234名に1日に当たり、DHA3.6gまたはEPA3.8gを7週間摂取 → DHAで
 もEPAでも血清の中性脂肪は低下したが、DHAとEPAではリポ蛋白質や脂肪酸の
 代謝様式に及ぼす影響が異なることを認めた。

 A健常者224名に1日に当たり、DHAまたはEPAを4g摂取して両者の相違を見た
 → DHAもEPAも血圧に及ぼす影響は認められず、DHAは心拍数を減少させ、EP
 Aは心拍数を増加させることが認められた。

 BDHAカプセル愛用者987名に対するアンケート調査 → 体調が良くなった、または少
 し良くなった人は約60%で、変化なしの人は約40%であった。このとき体調が良くなっ
 た人では、1日3カプセル(DHA0.2〜0.3g)以上摂取している人が約88%で、6ヶ月以
 上摂取している人が約80%であった。さらに、体調が良くなった、または少し良くなっ
 た人では、脳神経・視覚系(37%)、心血管系(11%)、炎症(20%)等における改善効果
 を自覚している人が多い。

6.脳神経系機能の向上を目指した摂取試験
 @脳血管型およびアルツハイマー型痴呆症患者に1日に当たり、DHAカプセル(DHA
 1.4g)を6ヶ月摂取 → 脳血管型では13名中10名が改善傾向を示し、アルツハイマー型
 では5名全員がやや改善した。

 A中等度の脳血管型痴呆症患者12名に1日当たり、DHAカプセル(DHA 0.72g)を
 1年間摂取 → 痴呆度の改善が認められた。

 B健常者97名に1日当たり、DHAカプセル(DHA 0.9g)を6ヶ月間摂取 → 46.6%
 の人が痴呆度テストのスコアを改善した。

 C特別養護老人ホームの高齢者30名(平均 78歳)に1日当たり、DHA油(DHA 0.65〜
 0.8g)を6ヶ月摂取 → 痴呆度スコアが上昇した人は30名中18名(60%)で、そのうち痴
 呆症患者では22名中12名(55%)のスコアが上昇し、痴呆症でない人では8名中6名
 (75%)のスコアが上昇した。

 D視力が1.0以下の近視者27名(4〜22歳)に1日に当たり、魚油含有パン(DHA 0.3g)
 を1ヵ月摂取 → 11名で左右の視力が0.2以上向上した。

 E眼科疾患を有する高齢者15名(平均 72歳)に1日当たり、DHAカプセル(DHA
 0.54g)を3ヶ月摂取 → 白内障患者では11名中8名、緑内障患者では1名中1名、両疾患
 合併症の患者では3名中1名で視力の改善を認めた。

7.各種疾患予防のための推奨量についての考察
  現在のところ、各種疾患予防のためのDHA、EPAおよび魚油の摂取推奨量につい
 て、公的には明らかにされていない。そこで、上記の疾患患者の臨床試験結果と健常者
 の摂取試験から敢えて推奨量について考察する。
  各試験でDHA、EPAおよび魚油の摂取量や期間に大きな差が認められるが、大雑
 把に見ると、心血管系疾患患者や炎症疾患患者で比較的多量に摂取している。それに比
 べ健常者での摂取試験や痴呆症および眼科疾患の患者では比較的少量の摂取である。
  各種疾患予防には、年単位の長期間の摂取であることから、臨床症状の改善を目的と
 した摂取量の半分程度を目安にすることと健常者の摂取試験結果を参考にすることが妥
 当かもしれない。そうすると、1日当たり、DHAが1g程度、EPAが1.5g程度、
 合計2.5g程度摂取すればよいのではと思われる。

8.おわりに
  健常者が各種疾患の予防のために、DHA、EPAおよび魚油をどの程度摂取したら
 よいのかを明らかにするデータが不足しているのが現状である。現在得られる少ない
 データを基に推奨量について検討してみたが、正確な数値を示すことは大変難しい。
 大雑把なことしか言えないが、種々の疾患を予防するためには、1日あたりのDHAおよ
 びEPAの摂取量をそれぞれ1.0〜1.5g程度が望ましいかもしれない。
          [資料 :「DHAの生理機能と必要量」(当協会刊行)より抜粋]